エンジニアからマネージャーに転生して2年経ちました

久しぶりのポエムです。2020年4月1日より、DeNAから株式会社Mobility Technologies移籍することになったので振り返りです。

これまでのお話

ちょうど3年ちょっと前にKDDI研究所(現KDDI総合研究所)からDeNAに転職し、研究者からエンジニアに転生しました。その時から2020年3月31日まで、AIシステム部という、全社横断で様々な事業ドメインに対して、AI技術による新たな価値提供を実現することを目的とした部署に所属していました。

 

転生してから1年経ったときのポエムです。

 

その後、2018年4月よりグループマネージャー(いわゆるGL)、その後2018年10月よりAIシステム部 副部長となり、初めてマネジメントにチャンレンジすることになりました。マネジメントをしながらも、プレイヤーとしても色々やっていた(つもり)ですが、このポエムではマネジメント部分にフォーカスして(抽象的に)振り返りたいと思います。

 

マネジメントと言っても一般的にその期待役割は幅広く、部門自体の役割や、その会社や部門のフェーズによっても何が求められるのかが大きく変わると思います。私自身、ちょうどメンバーを集めていく部の立ち上げ期から、様々な組織的な課題が発生し運営の比重が大きくなる時期まで関わることになったので、図らずも少しずつステップアップしていくような感じでマネジメントを学ぶことができたように思います。

 

マネージャーの役割については、下記の記事が参考になるため、項目をピックアップさせて頂きつつ振り返ります(エンジニアリングマネージャーではないですが)。

   

ピープルマネージメント

グループのメンバーとは隔週でone on oneをやっています。特にツールを使ってシステムマチックにやっているとかはなく、何か課題や相談ごとがないかというスタンスで、雑談だったり、取り組んでいるプロジェクトの具体的なディスカッションだったり、逆にこちらからの相談だったりをしています。

 

one on oneに関しては、色々改善の余地があると思いつつ、なかなか客観的に見るのが難しいです。格段相談ってほどじゃないんだけど…みたいなのをしっかり引き出せると良いなぁとか、コーチング的な能力身につけていきたいとか思ったり。引き出し方や整理が上手な人とone on oneすると、目を背けてきた自身の抱えている課題が明らかになったりするるので、そういうのできるようになりたい。

 

ピープルマネージメントでは、何か課題があるときに、それが各メンバー固有の事象として発生しているのか、根本的にプロジェクトや組織に課題があるのかを見極めることが重要だと体感しました。当たり前といえば当たり前なのですが、あるメンバーに特有の課題を大げさに組織として対応してしまうと変なことになるし、組織として解決しないといけない問題を各メンバーを個別にフォローするのでは筋が悪い。私の上司はそのあたりの見極めや、ふわっとした課題感からの具体的な課題の切り出しがとても上手だったので、勉強になりました。

 

育成という観点では、新卒のメンバーにはメンターがつくのですが、そのメンターで定期的にミーティングして、課題の共有や対応策のディスカッション、それぞれの取組内容のシェアみたいなのをやったのは、メンターとしてもミーティングのファシリテーターとしても勉強になりました。

 

プロジェクトマネジメント

新規案件の、相談ベースからフィージビリティスタディまでの段階のプロジェクトのマネジメントもどきをやっていました。大抵やらないほうが良いんじゃないですかねぇ…みたいになっちゃうのですが。

 

後は、入社当時からずっと関わっていたプロジェクトでは、初期メンバーという理由で(?)取りまとめ的なことをやっていたのがさすがに手におえなかったのを、プロの方が入ってきて綺麗にして頂いたのが、ちょっと前に諸事情によりそのPM業を引き継いでやっていたりします(規模が数倍になって戻ってきた)。この引き継ぎ前後2週間くらいはかなり脳汁が出ていた気がします。

 

テクノロジーマネジメント

個々の機械学習的なアプローチに関して色々言うことはあっても、技術選定というほどのことはしていません。コンピュータビジョン領域に関しては、現在各プロジェクトで取り組んでいないけれど、将来必要になりそうな技術を選定して、先行的に取り組むみたいなことをしていました。最近は機械学習のモデルよりも、やはりそれを組み込む際の技術選定や設計のほうが重要だと思っています。

 

社内の技術やノウハウの共有が行われる仕組みや風土に関しては頑張っていたつもりで、部内の技術共有会の運営をしていました。社内での取り組みですが、資料はなるべく社外公開するように推奨したり、そのための手続きの簡略化したのは良かったのではないかと思います。

 

結構悩んだのが、コンピュータビジョン系のメンバーの定例で、最初はメンバーも少なくプロジェクト進捗みたいなのをやっていたのが、メンバーが増えるにつれ破綻するのが目に見えたタイミング。そもそも進捗確認がしたいわけではなく、違うプロジェクトに参画しているがコアの専門性は共有しているメンバーが、技術共有やディスカッションを行うことを目的にしたかったので、そのための場としてどういうものが良いのか。20人とかを全員参加必須だと時間の無駄では?結果的には、参加も発表も必須ではなく進捗ではなく技術の話をしようということにしたのですが、みんなが色々共有してくれて盛り上がる会とそうではない会が出てしまったり。でも気持ちとしては持ち回り発表必須にはしたくない。ないかうまい方法はあるのだろうか。最近のZoom等でのカジュアルな参加形態は結構良い気もしています。

 

採用計画の策定

採用計画の策定といった大げさなことはしていませんでしたが、中途採用、新卒採用にはかなり関わりました。中途採用はどういう人が欲しいかを考えてjob descriptionを書いたり、アプローチの検討をしたり、アトラクト面談や会食したり。

 

新卒採用に関しては、HRの新卒採用の方と密に協力して、人材像のすり合わせ、採用フローやインターンの設計、課題作成、準備、運営、実際のメンターまで、一時期新卒採用しかしてないのではないかみたいな関わり方をしていました。HRの担当の方がとても優秀だったので楽しくやっていけたのがとても良かったです。学生の方々も、自分が学生の頃に比べると本当に優秀でメンタリングも学びが多かったです。

 

採用広報活動

色々やりました。デザイナーさんやHRの方にも協力していただいて、Shibuya Synapseというイベントの立ち上げとをやりました。採用ブランディングの一環としてやりつつも、DeNA色を出しすぎないようにしたり、イベント自体の存在意義をしっかり示しつつ、定期的にイベントを開催するのはとても難しいです。

 

勉強会系だとICLR2017読み会Deep Learning Acceleration勉強会ICLR2018読み会@PFN第46回 コンピュータビジョン勉強会@関東(前編)ICML2018読み会NeurIPS2018読み会@PFNICLR/ICML2019読み会といったイベントを、主催したり、共催したり、会場誘致したりしました。自社で開催するケースでは、運用の大部分をHRに完璧にサポートして頂いたおかげで、本当に満足度の高いイベントにできていたのではないかと思います。

 

自身の登壇も色々やっていたのですが、これは感覚としてはもはや自分が好きでやっているだけな気がします。イベント開催とかも実はそうなのかもしれませんが。思い返すと、teratailさんのMANABIYAでディスカッションさせてもらったり、自社イベントのDeNA TechCon 2018で登壇させてもらったり、ABEJAさんのSIX 2019に登壇させて頂いたり、ステアラボ人工知能セミナーに呼んで頂いたり。SSIIという学会でSSII'18はオーガナイズドセッションをやったり、SSII'19では企画側なのに登壇したりしてました。ほぼ学会活動ですが。

 

振り返って

思い返すと、組織やプロジェクトの成長に伴って、違うフェーズの業務やマネジメントを体験できたのは、まさに適度なストレッチになりつつ、業務としてもやりがいのある面白い経験でした。1つの部門にずっといたわりにはかなり多様なことを体験できました。

 

他の部門の方と関わる機会も多くあったのですが、本当にDeNAという会社はそこで働くメンバーがとても気持ちが良い会社でした。少なくとも自分の見てきた範囲では、部門間の壁とか、責任や仕事の押し付け合いとかは皆無で、DeNA Qualityの1つ、『こと」に向かう: 本質的な価値を提供することに集中する』が体現されていると感じました。

 

今後

4月から株式会社Mobility Technologiesに移籍となります。本当はプレイヤーとしての能力で生きていきたい気持ちはずっとあるのですが、一旦その気持を封印してマネジメントに徹するときが来たと思っています。これから気をつけたいと思っているのは実は透明性で、背景やそこへ至る途中経過が分からずに結果だけが降ってきたみたいな見え方にならないように気をつけたいです。後は適切に任せていくこと。苦手だと自覚しているし、メンバーからのフィードバックでもそこが一番弱い。ちなみに「コントローラー、プロモーター、アナライザー、サポーター」みたいな分類だとコントローラーだし、ストレングスファインダーだと指令性が1位なので何か自分の中でルールを作らないといけない気がしています。

 

蛇足

ふらっと雑談するみたいなのができないコミュ障な割にコントローラー気質なので、本質的にマネジメント(特にピープルマネージメント系)向いていないのではという葛藤はずっとあり、かといってプレイヤーだけのスキルで戦っていけるわけでもなく、この辺が自分の中で整理される日は来るのだろうか。今の自分の専門性並に、自信を持ってマネジメントが専門ですと言える日は来るのだろうか。